2012年9月23日日曜日

女性の強さ

今回の出産は香港ですると決めてからおよそ9ヶ月間、政府の病院に通っています。

香港で出産をする選択肢としては、

プライベート(個人の病院、産院)またはパブリック(政府が経営する病院)があります。

プライベートの病院では毎回の検査でエコー検診、赤ちゃんの体重などを量ってくれます。

産後のケアも入院日数が短いという点を除いてはほぼ日本と同じように、

それなりに充実しています。それに比べてパブリック病院では検査も産後のケアも必要最低限、

ということは通い始める前から聞いていたことでした。

まず第一に両者の病院ではかかる費用が雲泥の差なので、

そこは少々迷うところではあったけど、今回は2回目の出産だし、

ノウハウも分かっているからパブリック病院で出産でいいかな、

と思いここまで通い続けてきました。

パブリックの病院では香港居民であれば産前検査が一切無料、

出産も一日の入院代HK$150しかかかりません。

出産後はとりわけ大きな問題がなければ2泊3日で退院なので、

入院費はおよそHK$450(日本円で4500円くらい)となります。

この9ヶ月間を通して行なわれた検査は、聞いていた通り本当に必要最低限。

私のようにあらゆる検査に一度も引っかからず至って健康な妊婦は、

エコー検査もたったの一度だけ。赤ちゃんの姿を写した写真はもらえない。

毎回待ち時間は異様に長いのに、検査にかける時間はものの5分程度・・・。

先週金曜日に36週目検診に行ってきましたが、そこでもいつも通りの体重測定、

尿検査、血圧測定、赤ちゃんの心音を聞く、だけ。

次回の検査は37週目だけど、恐らくまたいつも通りの検査が繰り返されるのだろうと思います。

この時期になっても、赤ちゃんの体重はどのくらいか予想もつかないし、

自分から聞かなければ赤ちゃんが今どの程度陥入しているのかも教えてくれないし、

これじゃ産まれて良い状態なのかそうでないのかさえ分からない!と、

さすがの私もビビってきました・・・。
でも、全て無料で行なってくれているのだから文句の一つも言えないか・・・、

と弱気な自分。

前回は日本で出産して、産前の検査も産後のケアもそれはそれは手厚いものだったので、

余計にここでの内容が物足りないように感じてしまうのかもしれません。

でも、よく考えたらその昔の女性たちは、

お腹に宿っている赤ちゃんの状態など全く知らずに出産していたんですよね。

エコー検査も、血液検査も、、妊婦糖尿病検査、ダウン症検査はもちろんなし、

赤ちゃんの心音を聞くこともできず、成長している赤ちゃんの体重や大きさ、

性別さえ産まれてくるまで知らなかったわけです。

にもかかわらず、7人も8人も子供を授かりちゃんと出産していた。

出産ギリギリまで畑仕事をしたり、一人で出産する女性だってたくさんいたはずです。

そう考えると、私たちにも同じことが出来てあたりまえなんですよね、

本当は。
私が受け続けてきた検査でも、十分に赤ちゃんは産めるんです。

検査の内容が充実していない、赤ちゃんの姿を見られない、

とか不満ばかり言ってる場合じゃないと気がつきました。

むしろ、検査を受けられることに感謝しなければ。

本来女性はもっともっと心身ともに強かったはずです。

いつの間にか、便利なものに頼る習慣に慣れて本来の強さ、

たくましさ、寛大さを失いかけているのかも。

女性に限らず、今の世に生きる全ての男女に共通することですが、

頭脳は進化していても身体は退化しています。

このままではいつか、自然分娩で出産することができる女性さえいなくなってしまうかも・・・。

そうなってくると、子供を産むということに対する価値観もきっと変わってくるはず。

「苦痛がないからたくさん産めちゃう!」って具合に、

少子化を軽減できればいいかな、と私は思うけど。

でも、逆に、自然に出産することから学ぶ多くのことを失っていくとしたら

、悲しいことのように思えます。

そうなってしまわぬよう、先代の女性に見習い、

私も強く豊かな女性であろうと思い直す今日この頃です。

by asami